Cisco SD-WANの脆弱性CVE-2026-76504|悪用確認、認証回避の対象と修正版・侵害の確認
ルーター・スイッチ・無線 / 公表 2026-09-30
認証なしで、外から管理用のAPIに管理者(admin)の権限で入られるおそれ(CVE-2026-76504)
対象:Cisco Catalyst SD-WAN Manager(CVE-2026-20127は Controller・Validator も対象)(CVE-2026-76504(CVSS 9.8)・CVE-2026-20127(CVSS 10.0))
修正版 20.9.10.1・20.12.8.2・20.15.6.1・20.18.4.1・26.1.2.1・26.2.1(CVE-2026-76504)
1 版を確かめて修正版に上げる(回避策なし)
2 ログで侵害の痕跡を調べる
3 管理サーバーに外から届く範囲を絞る
出典 Cisco:Cisco Catalyst SD-WAN Manager API Authentication Bypass Vulnerability(cisco-sa-sdwan-webauth-xr8beuuU)(2026-09-30(改訂1.1:2026-10-03、日本時間。11-02時点で最新))
Cisco Catalyst SD-WAN Managerの脆弱性CVE-2026-76504は、認証されていない遠隔の攻撃者が、管理用のAPIに管理者(admin)の権限で入れるおそれがあり、Ciscoが2026年9月に悪用を確認しています。設定に関係なく対象で回避策は無く、20.18.4.1・26.2.1などの修正版に上げたうえで、ログで侵害の痕跡を調べます。[1][3]同じManagerには、2026年2月に悪用が確認されたCVE-2026-20127もあり、修正版が違います。[2][3]
- CVE-2026-76504は、HTTPの要求に含まれるURLの符号化(%6aなど)の扱いの誤りで、APIの認証の決まりをすり抜けられる脆弱性です。CVSS 3.1は9.8(Cisco)です。[1]
- Ciscoは2026年9月に悪用を確認し、米CISAは同じ9月30日にKEVへ追加しました。[1][3]
- 修正版は20.9.10.1・20.12.8.2・20.15.6.1・20.18.4.1・26.1.2.1・26.2.1で、20.9より前は修正版のある系列へ移ります。Ciscoが管理するクラウドは対応済みです。[1]
- 侵害の確認は、
serviceproxy-access.logとvmanage-server.logのj_security_checkの記録から始めます。[1]
01Cisco SD-WANの脆弱性で起きること
CVE-2026-76504を悪用されると、認証されていない遠隔の攻撃者が、Cisco Catalyst SD-WAN Managerの管理用のAPIに管理者(admin)の権限で入れるおそれがあります。HTTPの要求に含まれるURLの符号化の扱いに誤りがあり、特定のAPIの入口を守る認証の決まりをすり抜けられることが原因です。Ciscoは2026年9月30日に公表し、CVSS 3.1の基本値を9.8としています。[1]
CVE-2026-20127は、Controller(旧vSmart)・Manager(旧vManage)・Validator(旧vBond)の間の相互認証(ピアリング)がうまく働かない脆弱性です。悪用されると、認証なしで内部の高い権限のアカウントでログインされ、NETCONFを通じてSD-WAN全体のネットワーク設定を書き換えられるおそれがあります。Ciscoは2026年2月26日に公表し、CVSS 3.1の基本値を10.0としています。[2]
管理用APIのURLの符号化と管理サーバー同士の相互認証の2つの不備から、SD-WANの管理を管理者の権限で握られる
Cisco Catalyst SD-WANの管理サーバー
出典 Cisco「Cisco Catalyst SD-WAN Manager API Authentication Bypass Vulnerability」(2026年9月30日)
02対象になる製品と構成
CVE-2026-76504は、Cisco Catalyst SD-WAN Managerが対象で、設定に関係なく当てはまります。Ciscoが管理するクラウド(Cisco SD-WAN Cloud、Cisco Managed)は、Ciscoが20.15.605で直しており、利用者の作業は要りません。[1]
CVE-2026-20127は、Controller・Manager・Validatorが対象で、設定に関係なく当てはまります。自社で設置したもの(On-Prem)のほか、Ciscoが提供するクラウド(Cisco Hosted SD-WAN Cloud、Cisco Managed、FedRAMP環境)も対象の構成に挙げられています。[2]
製品名は20.12.1から変わっています。vManageはSD-WAN Manager、vSmartはSD-WAN Controller、vBondはSD-WAN Validatorです。[2]
03悪用の状況(KEV追加と悪用確認)
Cisco PSIRTは、2026年9月にCVE-2026-76504が実際に悪用されていることを把握しました。この脆弱性は、Ciscoのサポート窓口(TAC)への問い合わせを調べる中で見つかったものです。[1]
米CISAは、CVE-2026-76504を2026年9月30日(米国の日付)にKEVへ追加し、侵害の調査(Forensic Triage)の対象としています。CVE-2026-20127は2026年2月25日(米国の日付)にKEVへ追加されています。[3]
CVE-2026-20127について、Ciscoは限られた範囲での悪用を把握しています。この脆弱性はオーストラリア信号局のサイバーセキュリティセンター(ACSC)が報告したものです。[2]
Ciscoは2026年10月28日(米国時間)、CVE-2026-20127を悪用した攻撃者(UAT-11473)の侵入後の活動の分析をCisco Talosのブログで公表し、告知(改訂2.1)に追記しました。攻撃者は認証の回避の後、Controllerのプロセス(vdaemon)に入り込む仕組みを置き、裏口と鍵の情報の収集に使っていました。[6][2]
2月の20127、9月の76504と悪用が続き、10月に20127の侵入後の活動が公表された
Cisco 米CISA
2026年2月25日(米国の日付)
2月26日
2026年9月
9月30日
9月30日(米国の日付)
10月28日(米国時間)
出典 Cisco「Cisco Catalyst SD-WAN Controller Authentication Bypass Vulnerability」(2026年10月29日改訂)
JPCERT/CCとIPAの注意喚起の一覧には、2026年11月2日の時点でこの2件はありません。
04管理サーバーが外から見えているか
05攻撃を受けていないかの確認
修正版に上げる前に悪用されていないかを、Ciscoが示すログの点で確かめます。次の記録は通常の運用でも出ることがあるため、普段の状態と比べて判断します。[1][2][4]
- 【CVE-2026-76504】
/var/log/nms/containers/service-proxy/serviceproxy-access.logに、心当たりのないIPアドレスからのj_security_checkへの要求(例:POST /%6a_security_check)が無いか。%6a(j)は一例で、どの1文字を符号化しても悪用できます - 【CVE-2026-76504】
/var/log/nms/vmanage-server.logに、心当たりのないIPアドレスからのj_security_checkで、ユーザー名がviptela-reserved-で始まる記録が無いか - 【CVE-2026-20127】
/var/log/auth.logのAccepted publickey for vmanage-adminの接続元が、管理画面の WebUI > Devices > System IP にある自社の機器のIPアドレスと一致するか - 【CVE-2026-20127】制御接続のピアリングの記録(特に peer-type が vmanage のもの)について、時刻が保守作業や設定変更の予定と合うか、public-ip が自社や取引先の機器か、peer-system-ip が構成どおりか、同じ送信元から繰り返されていないか
CVE-2026-20127については、米CISAが侵害の調べ方を示しています。悪用は2023年に始まった可能性が高いとして、調べる期間をそれに合わせるよう求めています。[5]
- 【CVE-2026-20127】
/var/volatile/log/vdebug・/var/log/tmplog/vdebug・/var/volatile/log/sw_script_synccdb.logに、予定に無い古い版への巻き戻しや再起動の記録が無いか[5] - 【CVE-2026-20127】
/home/vmanage-admin/.ssh/authorized_keysに、管理者が登録していない鍵が無いか[5] - 【CVE-2026-20127】Cisco Talosが挙げるファイル(
/tmp/system-vdaemon、/var/tmp/vdaemon.bin、/var/tmp/vdaemon.conf、/etc/sv/sshd/・/etc/sv/aaamgr/の下の見慣れないもの、libdssl.so・rsshd・conf_sshd・aaamgrd)が無いか[6]
米CISAは、root権限のアカウントが侵害されていたときは、修正済みのイメージ(OVA・qcow2)からManager・Controller・Validatorを作り直し、拠点の機器を新しい構成へ移すよう求めています。[5]
判断に迷うときは、各管理サーバーで request admin-tech を実行して資料を集め、CiscoのTACに相談します。CVE-2026-76504で相談するときは、Severity 3で、件名にCVE番号を入れます。Ciscoは、TACの調査の結果を待たずに修正版へ上げるよう求めています。[1][2][4]
侵害の確認チェックリスト
チェックはこのブラウザにだけ残ります。保守の会社への依頼や作業の記録にも使えます。

06対象と修正版(系列ごと)
CVE-2026-76504の修正版は、20.9が20.9.10.1、20.12が20.12.8.2、20.15が20.15.6.1、20.18が20.18.4.1、26.1が26.1.2.1、26.2が26.2.1です。20.9より前は、修正版のある系列へ移ります。[1]
表の版は、それぞれの脆弱性が初めて直った版です。同じ系列では、CVE-2026-76504の修正版のほうが新しい版です。[1][2]
| 系列 | CVE-2026-76504の修正版 | CVE-2026-20127の修正版 |
|---|---|---|
| 20.9より前 | 修正版のある系列へ移る | 修正版のある系列へ移る(保守終了) |
| 20.9 | 20.9.10.1 | 20.9.8.2 |
| 20.11 | 記載なし(出典で確認) | 20.12.6.1(保守終了) |
| 20.12 | 20.12.8.2 | 20.12.5.3・20.12.6.1 |
| 20.13・20.14 | 記載なし(出典で確認) | 20.15.4.2(保守終了) |
| 20.15 | 20.15.6.1 | 20.15.4.2 |
| 20.16 | 記載なし(出典で確認) | 20.18.2.1(保守終了) |
| 20.18 | 20.18.4.1 | 20.18.2.1 |
| 26.1 | 26.1.2.1 | 記載なし(出典で確認) |
| 26.2 | 26.2.1 | 記載なし(出典で確認) |
2件の修正版は系列ごとに違い、同じ系列では76504の修正版のほうが新しい版になる
出典 Cisco「Cisco Catalyst SD-WAN Manager API Authentication Bypass Vulnerability」(2026年9月30日)
CVE-2026-76504のCVEの記録(採番:Cisco)は、修正版と同じ番号でも、名前に_LI_Imagesが付く版や末尾に.01が付く版(例:20.18.4.1.01、26.2.1_LI_Images)を影響ありに挙げています。これらの版を使っている場合は、Ciscoに確かめます。[8]
07版の確かめ方と上げる手順
自社で設置したManagerは、各Managerでshow softwareを実行すると、入っている版の一覧(VERSION・ACTIVEなどの列)が出ます。クラスタで使っている場合は、すべてのManagerで確かめます。[7]Ciscoが管理するクラウドでは、管理画面のHelpで対応の状況と版を確かめられます。[1]
- 上げる前に、すべてのManager(クラスタのすべての機器、予備の拠点のものを含む)で
request admin-techを実行し、資料を残します。[4] - 上げる先は、今の系列の中の修正版(06の表)にします。Ciscoの対処の手引きは、今のメジャーリリースの中で上げるよう求めています。[4]
- Ciscoの互換性の表(Catalyst SD-WAN Control Component Compatibility Matrix)で管理サーバー同士の組み合わせを確かめ、Cisco Catalyst SD-WAN Upgrade Matrixで上げる順番を決めます。[1]
- 上げた後に、もう一度
show softwareで版を確かめます。[7]
保守の会社に頼むときは、CVE-2026-76504とCVE-2026-20127の番号、いまの版、上げる先の版(06の表)、Manager・Controller・Validatorのどれが何台あるかを伝えます。あわせて、05の確認点でログを調べてもらい、上げる前のadmin-techの資料を残してもらいます。
08すぐに上げられないとき
Ciscoは、どちらの脆弱性にも回避策は無いとしています。直す方法は修正版に上げることだけです。[1][2]
CVE-2026-76504では、修正版に上げるまでの一時的で部分的な守りとして、Live Protect shieldを出しています。これを入れると、URLの符号化を使う正規の利用者がSD-WAN Managerにログインできなくなることがあります。[1]
緩和策として、自社設置の構成では、インターネットなど安全でないネットワークからの接続を止め、外から使う必要があれば、決まった信頼できる送信元だけに絞ってファイアウォールの内側に置きます。CVE-2026-20127では、ポート22と830への通信を、決まった管理サーバーのIPアドレスなどに限るよう求めています。Ciscoのクラウドでは、これらの緩和策はCiscoが入れています。[1][2]
09保守が終わった系列を使っているとき



よくある質問
vManageを使っています。対象ですか?
はい。vManageはCisco Catalyst SD-WAN Managerの以前の名前で、CVE-2026-76504とCVE-2026-20127の両方の対象です。[1][2]
Ciscoのクラウド(SD-WAN Cloud)で使っています。作業は要りますか?
CVE-2026-76504は、要りません。Ciscoが管理するクラウドは20.15.605で直っています。CVE-2026-20127では、Ciscoのクラウドも対象の構成に挙がっており、通信を絞る緩和策はCiscoが入れています。[1][2]
CVE-2026-20127の修正版に上げてあれば大丈夫ですか?
いいえ。CVE-2026-76504は別の脆弱性で、修正版も新しい版です。たとえば20.18では、20127は20.18.2.1で直りましたが、76504は20.18.4.1以上が必要です。[1][2]
回避策はありますか?
いいえ。Ciscoは回避策は無いとしています。Live Protect shieldは一時的で部分的な守りで、直すには修正版に上げます。[1]
出典・参考資料
- Cisco:Cisco Catalyst SD-WAN Manager API Authentication Bypass Vulnerability(cisco-sa-sdwan-webauth-xr8beuuU)2026-09-30(改訂1.1:2026-10-03、日本時間。11-02時点で最新) / CVE-2026-76504の内容・CVSS・対象・修正版・回避策なし・Live Protect shield・緩和策・侵害の確認点・悪用の確認
- Cisco:Cisco Catalyst SD-WAN Controller Authentication Bypass Vulnerability(cisco-sa-sdwan-rpa-EHchtZk)2026-02-26(日本時間。最新は改訂2.1:2026-10-29、Talosのブログを追記) / CVE-2026-20127の内容・CVSS・対象の構成・修正版・保守終了の系列・緩和策・侵害の確認点・悪用の確認
- 米CISA:Known Exploited Vulnerabilities Catalog(CVE-2026-76504・CVE-2026-20127)2026-09-30追加(76504)・2026-02-25追加(20127)、いずれも米国の日付 / 悪用の確認、侵害の調査の対象
- Cisco:Remediate Catalyst SD-WAN Security Advisory, September 2026(文書ID 226384)2026-09-30(10-01更新) / CVE-2026-76504の対処の順番(更新の前にadmin-techを集める、同じ系列の修正版へ上げる、TACでの痕跡の調査)
- 米CISA:Supplemental Direction ED 26-03: Hunt and Hardening Guidance for Cisco SD-WAN Systems2026-02-25(米国の日付、2026-11-02確認) / CVE-2026-20127などの侵害の調べ方(版の巻き戻し、不正なピアリング、vmanage-adminの鍵)と作り直しの条件
- Cisco Talos:Inside KeyDrift: Analyzing historical UAT-11473 activity on Cisco SD-WAN2026-10-28(米国時間) / CVE-2026-20127を悪用した攻撃者の侵入後の活動と、機器に残るファイル
- Cisco:Cisco SD-WAN Managerクラスタのアップグレードガイド(文書ID 225390)2026-06-29更新(2026-11-02確認) / 各Managerで show software を実行して入っている版を確かめる
- CVE Program:CVE-2026-765042026-09-30公開(2026-10-03更新、日本時間) / 採番機関(Cisco)が影響ありとする版の一覧
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