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Microsoft、社内で動くAIエージェントを「新しい内部の人間」として管理 検出を60種類に広げ、権限を作業単位に

この記事のポイント
  • Microsoftは、社員のPCなどで動くAIエージェントの検出を60種類に広げ、Claude CodeやOpenAI Codexも対象にした。[1]
  • エージェントに人とは別のIDを与え、権限を作業ごと・時間ごとに絞る「Dynamic Permissions」を導入する。[1]
  • 社内でAIエージェントを使い始めた企業にとって、持ち主と権限を決めて管理する手本になる。

Microsoftは2026年10月19日、社内で動くAIエージェントを見つけ、IDを与え、権限を絞って監視する機能を発表した。[1] 同社はAIエージェントを「新しい内部の人間」と呼ぶ。会社のデータや業務システムに触れる権限を持ち、誤りを犯すことも、だまされることも、乗っ取られることもあるからだ。見つける、行動の前に封じ込める、経路を守る、変化に合わせるの4つを、途切れずに続ける仕組みとして示した。

1. 何が起きたのか

まず見つける対象を広げた。Microsoftのセキュリティ製品が検出できるローカルのエージェントを35種類増やし、60種類にした。Claude Code、OpenAI Codex、GitHub Copilotも含まれる。見つけたエージェントは、Microsoft Agent 365と共通の1つの台帳にまとめ、持ち主、動き、リスクを確認できるようにする。[1]

次に、AIエージェントに人とは別のIDを与える「Microsoft Entra Agent ID」を、センサーが見つけたPC上のエージェントにも使えるようにする。エージェントを使う人の権限を、エージェントにそのまま引き継がせないための土台である。[1]

権限の与え方も変える。「Dynamic Permissions」では、エージェントは権限なしで始まり、承認された作業に必要な分だけを、その作業の間だけ受け取る。組織の方針が上限を決め、使う人が持たない権限は得られない。影響の大きい操作には人の承認を求められる。[1]

動いている間のリスクも見続ける。Microsoftは経費承認のエージェントを例に挙げる。外部の文書に仕込まれた指示(プロンプトインジェクション)に触れて作業と関係のない操作を始めると、リスクの評価が上がる。そのとき、読み取りは残したまま承認や書き込みを止め、さらに危険が増せば実行環境を隔離して止める。[1]

社内のAIエージェントを、見つけてIDを与え、権限を絞って見張る

人が方針と承認の範囲を決め、Microsoftの仕組みがエージェントごとに権限とリスクを管理する。

組織の方針人が方針、承認の範囲、任せるルールを決める
↓上限を決める

Project PerceptionとAgent 365(共通の台帳)

見つけるローカルのエージェントを60種類まで検出し、台帳にまとめる
IDを与えるMicrosoft Entra Agent IDで、人とは別のIDを持たせる
封じ込める隔離した実行環境と、作業単位の権限(Dynamic Permissions)
変化に合わせるリスクの変化に応じて、権限を絞る・止める
↓管理する
社内で動くAIエージェントClaude Code、OpenAI Codex、GitHub Copilotなど
↓
読み取りは残し、書き込みを止めるリスクが上がると、承認や書き込みの権限から外す
Guardian Agentsが調べて対応リスクが変わった理由を調べ、封じ込めを提案・実行する
外部の文書に仕込まれた指示プロンプトインジェクションで、設定が同じでも振る舞いが変わる

出典 Microsoft Security Blog(2026-10-19)

2. なぜ今なのか

Microsoftは、人とAIエージェントでは守り方が違うと説明する。人であれば、異常を見つけてから対応するまでに時間差があっても間に合うことがある。マシンの速さで動くエージェントでは、その時間差が封じ込めと被害の分かれ目になる。[1]

AIエージェントは、人と同じやり方では守れない

Microsoftは、社員とAIエージェントで、IDと権限の持ち方を分けるとしている。

社員(人)
AIエージェントMicrosoftの考え方
ID
社員自身のIDを使う
人とは別の、エージェント自身のIDを持つ
権限
社員が持つ権限を使う
権限なしで始め、作業に要る分を作業の間だけ受け取る
異常への対応
検知から対応まで時間差があっても間に合うことがある
マシンの速さで動くため、時間差が被害に直結する
影響の大きい操作
社員の判断で行う
人の承認を求められる
つまり エージェントには使う人の権限を引き継がせず、作業単位で絞り、変化に合わせて止められるようにする。

出典 Microsoft Security Blog(2026-10-19)

これまでの流れもある。Microsoftは2025年5月19日、Copilot StudioやAzure AI Foundryで作ったエージェントに自動でIDを与え、エージェントと利用者の管理を1か所にまとめる「Microsoft Entra Agent ID」を発表した。[3] 2026年7月27日には、攻撃の道筋を探す赤、リスクを調べる青、対策を打つ緑のエージェントが組んで守る「Project Perception」を発表し、8月3日にプレビューを始めた。[2] 今回は、その仕組みを社内で動くエージェントそのものを守る方向へ広げた。

規模も大きい。Microsoftの副CISOであるTerrell Cox氏は、社内ですでに数十万のエージェントが動いていると述べ、その運用で得た学びを製品に反映したとしている。[1] 数が増えれば、警告を人が1件ずつ確かめる運用は追いつかない。そこで、人が方針と承認の範囲を決め、「Guardian Agents」が調査と封じ込めを担う形を示した。[1]

エージェントにIDを与えるところから、社内のエージェントを守る仕組みへ

Microsoftの発表を時系列に並べる。

Microsoftの発表

2025年5月19日

Microsoft Entra Agent IDを発表Copilot StudioやAzure AI Foundryで作ったエージェントに自動でIDを与える
IDエージェントにも

2026年7月27日

Project Perceptionを発表赤・青・緑のエージェントが組んで守る仕組み。8月3日にプレビュー開始
3色のエージェントの組

10月19日

社内のAIエージェントを守る機能を発表検出の拡大、作業単位の権限、リスクに応じた制御、Guardian Agents
60種類検出できるエージェント

出典 Microsoft(2025-05-19、2026-07-27、2026-10-19)

3. 日本の企業にとって何が変わるか

開発者がClaude CodeやCodexを自分のPCで使い始めると、管理部門はどのPCでどのエージェントが動き、何に触れているかをつかみにくくなる。今回の発表は、まず一覧を作り、持ち主と権限を決めることから始める考え方を示している。

例えば、開発者の権限をそのまま持ったエージェントが、外部の文書に書かれた指示に従ってしまえば、ソースコードの書き換えや社外への送信まで進む。エージェントに専用のIDを持たせ、作業に要る権限だけを渡しておけば、誤った指示を受けても被害を作業の範囲に収められる。

具体的には、社内で使われているAIエージェントの種類と持ち主を洗い出し、エージェントごとに触れてよいデータと操作を決めたい。送金、削除、社外への送信のような影響の大きい操作には、人の承認を挟む。Microsoftの製品を使っていない企業でも、この順番はそのまま使える。

まとめ

技術・取り組み / 2026年10月19日

Microsoft、社内で動くAIエージェントを「新しい内部の人間」として管理

60種類検出できるエージェント
35種類今回の追加
01 何が起きたかAIエージェントを見つけ、IDを与え、権限を絞る

Microsoftは、社員のPCなどで動くAIエージェントの検出を60種類に広げ、人とは別のIDと、作業単位の権限で管理する仕組みを発表した。

対象の例 Claude Code、OpenAI Codex、GitHub Copilot

02 なぜ今かエージェントは、マシンの速さで動く内部の人間

速さ 検知から対応までの時間差が、被害の分かれ目になる

規模 Microsoft社内で、すでに数十万のエージェントが動いている

流れ 2025年のEntra Agent ID、2026年7月のProject Perceptionから広げた

03 日本の企業にとって一覧、持ち主、権限、人の承認の順に整える

1 社内のPCで動くAIエージェントを、種類と持ち主まで一覧にできているか

2 エージェントが、使う人の権限をそのまま引き継いでいないか

3 送金や削除など影響の大きい操作に、人の承認を挟んでいるか

出典 Microsoft Security Blog(2026-10-19)

タグ#AIエージェント#権限管理#監視