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AIで広がるサイバー犯罪に21か国が一斉摘発、容疑者1,462人を逮捕 企業の脅威情報が起点に

この記事のポイント
  • INTERPOLが調整した「セレンゲティIII」作戦で、アフリカ20か国と米国の当局が容疑者1,462人を逮捕した。[1]
  • 民間企業が提供した脅威情報を手がかりに、悪性のネットワーク10,909件を妨害し、1億500万ドルを超える違法資金を回収した。[1]
  • INTERPOLは、AIがアフリカのサイバー犯罪を広げていると分析している。AIで速くなる犯罪に、企業の情報で対抗した作戦である。

INTERPOLは2026年10月22日、アフリカを中心にしたサイバー犯罪の一斉摘発「セレンゲティIII」作戦の成果を公表した。[1] 21か国の当局が容疑者1,462人を逮捕し、犯罪に使われたネットワーク10,909件を妨害して、1億500万ドルを超える違法資金を回収した。作戦の起点になったのは、民間企業が提供した脅威情報である。INTERPOLは同じ発表で、AIがアフリカ全域でサイバー犯罪を広げていると分析している。

1. 何が起きたのか

作戦は2026年6月29日から8月31日にかけて行われた。参加したのはアフリカ20か国と米国の捜査当局で、ランサムウェア、ビジネスメール詐欺、オンライン詐欺などを対象にした。[1]

捜査に先立ち、INTERPOLは不審なドメインやIPアドレスなどの情報を参加国に共有した。この情報を出したのが、セキュリティ企業などの民間パートナーである。各社は脅威情報、技術分析、実務の専門知識を提供した。[1] 企業が日々の監視で見つけた攻撃の痕跡が、各国警察の捜査と逮捕に使われた形だ。

AIで広がるサイバー犯罪を、企業の手がかりで21か国の警察が摘発した

INTERPOLが調整した「セレンゲティIII」作戦。INTERPOLは、AIがアフリカ全域でサイバー犯罪を広げていると分析している。

民間パートナーセキュリティ企業などが、不審なドメインやIPアドレス、技術分析、専門知識を提供
↓脅威情報

INTERPOLの調整

INTERPOL作戦を調整し、捜査の前に参加国へ不審な通信先などの情報を共有
21か国の捜査当局アフリカ20か国と米国
↓捜査
ランサムウェア・ビジネスメール詐欺・オンライン詐欺の犯罪者日本企業の海外拠点や取引先も狙う手口
↓
成果1,462人を逮捕2026年6月29日〜8月31日の作戦で
10,909件のネットワークを妨害犯罪に使われた悪性のネットワーク
1億500万ドル超を回収違法な資金

出典 INTERPOL「Cybercrime crackdown in Africa nets 1,462 arrests」(2026-10-22)

2. なぜ今なのか

INTERPOLは2025年8月22日にも、前回の「セレンゲティ2.0」作戦の成果を公表している。このときはアフリカ18か国と英国が参加し、民間パートナーの情報提供に加えて、捜査員の研修も組み込んだ。[2] 国をまたいだ協力と、情報を使いこなす人材の育成を、年をまたいで続けてきたことになる。

前回の作戦から、参加国と民間の関わり方が広がった

2025年の「セレンゲティ2.0」と、2026年の「セレンゲティIII」を並べる。

セレンゲティ2.02025年8月22日に成果を公表
セレンゲティIII2026年10月22日に成果を公表
参加した国
アフリカ18か国と英国
アフリカ20か国と米国
民間の関わり
民間パートナーが情報を提供
脅威情報、技術分析、実務の専門知識を提供
組み込んだもの
捜査員の研修
捜査の前に、不審な通信先の情報を参加国へ共有
つまり 国をまたいだ協力と、企業の情報を捜査に使う仕組みを、年をまたいで積み上げている。

出典 INTERPOL(2025-08-22、2026-10-22)

2026年8月3日に公表したアフリカのサイバー脅威評価では、36の加盟国への調査をもとに脅威を分析し、アフリカのサイバー犯罪の半数以上にAIが関わっているとした。報告書は、銀行、通信事業者、捜査機関の間でリアルタイムの情報共有が足りないことを課題に挙げている。[3] 今回の作戦は、企業の情報を捜査に直接つなぐことで、この課題に応えたものである。

1年かけて、情報を捜査につなぐ仕組みを積み上げてきた

INTERPOLの発表を時系列に並べる。

INTERPOLの作戦 INTERPOLの調査・報告

2025年8月22日

セレンゲティ2.0の成果を公表アフリカ18か国と英国が参加。民間の情報提供と捜査員の研修を組み込んだ
18か国+英国参加した国

2026年6月29日

セレンゲティIIIを開始アフリカ20か国と米国の当局が参加。8月31日まで
21か国参加した国

8月3日

アフリカのサイバー脅威評価を公表サイバー犯罪の半数以上にAIが関わっていると分析。銀行・通信・捜査機関の情報共有不足も指摘
半数以上AIが関わるサイバー犯罪

10月22日

セレンゲティIIIの成果を公表容疑者を逮捕し、悪性のネットワークを妨害、違法な資金を回収
1,462人逮捕した容疑者

出典 INTERPOL(2025-08-22、2026-08-03、2026-10-22)

3. 日本の企業にとって何が変わるか

ビジネスメール詐欺やオンライン詐欺は、日本企業の海外拠点や取引先も狙う手口である。今回の作戦は、攻撃の痕跡を記録し、外部へ渡せる企業が捜査を前に進めることを示した。

例えば、海外拠点に取引先を装った送金依頼が届いた場面を考える。経理、情報システム、法務、現地の担当者がそれぞれ判断していると、誰がいつどこへ相談するかが決まらないまま時間が過ぎる。メールのやり取り、承認の履歴、関連するログを誰が保全し、誰が当局や金融機関への連絡を決めるのかを、あらかじめ決めておきたい。

情報を外へ渡すときは、共有先、対象範囲、社内の承認者を決めておくと、秘密情報や個人情報の扱いと両立できる。担当者が不在になる夜間や休日に誰が判断を引き継ぐかも、普段の訓練で確かめておくとよい。

まとめ

摘発・法執行 / 2026年10月22日

AIで広がるサイバー犯罪に21か国が一斉摘発、容疑者1,462人を逮捕

1,462人逮捕
10,909件ネットワークを妨害
1億500万ドル超を回収
01 何が起きたか企業の脅威情報を手がかりに、21か国が一斉に摘発した

INTERPOLが調整した「セレンゲティIII」作戦で、アフリカ20か国と米国の当局が、ランサムウェアやビジネスメール詐欺の容疑者を逮捕した。

作戦期間 2026年6月29日〜8月31日

02 なぜ今かAIで広がる犯罪に、企業の情報で対抗した

AI 8月の脅威評価は、アフリカのサイバー犯罪の半数以上にAIが関わっていると分析

課題 銀行・通信・捜査機関の間で、リアルタイムの情報共有が足りない

今回 捜査の前に、企業が見つけた不審な通信先を参加国へ共有した

03 日本の企業にとって被害時に、証拠を残して外へつなぐ体制を見直す

1 海外拠点を含め、被害の疑いを受け付ける社内窓口は明確か

2 メールや承認履歴、関連ログを保全する責任者を決めているか

3 当局や金融機関への相談時に、共有範囲を判断する担当者は誰か

出典 INTERPOL(2026-10-22)

タグ#国際捜査#官民連携#資金回収