- デジタル庁は、政府職員約18万人が使うAIエージェントの安全な使い方を定めた「源内基準」を公表した。[1]
- 利用者、管理者、開発者の責任を分け、原本の上書き防止や操作記録といった仕組みでの歯止めも定めた。[1][2]
- 社内でAIエージェントを使い始める企業にとって、役割と権限を決めるときの手本になる。
デジタル庁は2026年10月20日、政府のAI基盤「源内」でAIエージェントを使える環境を導入し、その安全な使い方を定めた「源内基準」を公表した。[1] AIに作業を任せる範囲が広がるなか、利用者の注意だけに頼らず、管理者と開発者にも役割を置いた点が特徴である。
1. 何が起きたのか
対象は約18万人の政府職員である。「エージェントチャット」を順次導入し、より高度な処理を行う「源内工房」は12月ごろまでの導入を目指す。両環境は2027年2月ごろにOSSとして公開する予定だ。[1]
基準はAIセーフティ・インスティテュート(AISI)の協力を得て作られた。[1] 原本のファイルをAIに上書きさせない設計、操作の記録、組織による利用管理などを具体的に定めている。源内工房では外部へのデータ送信を制限し、利用権限を与えるときは管理者が確認する。[2] 自律的に動く機能を用意しながら、できる操作には上限を設けているのである。
AIに仕事を任せるほど、「誰が何を確かめるか」を役割ごとに決める
源内基準は、政府職員約18万人が使うAIエージェントについて、3つの役割と、仕組みで止める歯止めを定めた。
ガバメントAI「源内」
出典 デジタル庁「源内」AIエージェントと源内基準(2026-10-20)、同基準PDF第2・3章
2. なぜ今なのか
デジタル庁は5月28日、全府省庁で生成AIの大規模実証を始めた。5月29日時点で約10万人が使えるようになり、その後約18万人へ広げる計画だった。[3] 6月12日には生成AIの調達と利活用のガイドラインを改定し、技術の進展や用途の広がりに合わせて内容を見直した。[4]
高度な処理を任せる環境ほど、歯止めを強くしている
源内で使える2つのAIエージェント環境を並べる。
出典 デジタル庁(2026-10-20)、源内基準PDF第2・3章
利用者が増え、AIが文章を書くだけでなく作業を代行する段階に入ったことで、誰が何を確かめるかを具体的に決める必要が出てきた。今回の基準は、その答えを政府として先に示したものである。
使う人が増え、AIが作業を代行する段階で基準を出した
デジタル庁の発表を時系列に並べる。
デジタル庁の発表
2026年5月28日
6月12日
10月20日
12月ごろ
2027年2月ごろ
出典 デジタル庁(2026-05-28、2026-06-12、2026-10-20)
3. 日本の企業にとって何が変わるか
企業が参考にできるのは、製品そのものより、責任を分ける考え方である。社員向けの注意書きだけでは、開発者が設定する接続先や、管理者が与える権限までは管理できない。利用規程、システムの設定、承認の手順を並べ、それぞれを誰が変更できるのかを確かめると、対策の抜けが見つけやすくなる。
例えば、AIに文書を要約させる業務と、文書を書き換えて社外へ送らせる業務では、必要な確認の重さが違う。情報の機密性や誤操作の影響に応じて、実行前の承認、元に戻す方法、操作後の確認を組み合わせたい。
「ログを取る」と決めたなら、誰が読み、どんなときに調べ、異常があれば誰が止めるかまで決めておく。AIを調達するときも、モデルの性能だけでなく、接続できる業務システムや委託先が保守で触れる範囲を具体的に確認すると、社内規程と契約の内容を対応させやすい。
まとめ
政策・制度 / 2026年10月20日
デジタル庁、政府のAIエージェントの安全な使い方「源内基準」を公表
デジタル庁は、政府のAI基盤「源内」でAIエージェントを使える環境を導入し、利用者・管理者・開発者の責任と、原本の上書き防止や操作記録といった歯止めを定めた。
基準づくりにAIセーフティ・インスティテュートが協力
5月 全府省庁で大規模実証を始め、約10万人が使えるようになった
6月 生成AIの調達・利活用ガイドラインを改定した
10月 作業を代行するエージェントの運用条件を具体化した
1 AIに読ませる情報と、変更・送信を許す対象を分けているか
2 利用者、管理者、開発者それぞれの承認責任が決まっているか
3 誤操作の記録を確認し、停止・復旧する担当者がいるか
出典 デジタル庁(2026-10-20)












