Dart / Flutterの脆弱性情報まとめ

2026.11.02 15:02 更新 2026年に公表されたDart・Flutter SDKとよく使われるpubのパッケージの脆弱性

Dart・Flutterの脆弱性対応では、ビルドに使うSDK、pubspec.lockの依存、配ったアプリやバイナリを分けて確かめます。SDKの実行環境はアプリに組み込まれるため、上げたあとの作り直しまでが対応です。ここでは2026年の主な脆弱性と、自分の環境が対象かを確かめる方法をまとめます。

このページの要点
  • Dart 3.13.7・Flutter 3.47.8で、鍵が漏れたeMudhraの中間証明書を拒否するようになりました。Android・Windows・Linuxのアプリは作り直して配ります。
  • セキュリティの更新を受けるのは最新の安定版だけです。11月2日時点ではFlutter 3.47.9(Dart 3.13.7)です。
  • pubのパッケージのアドバイザリはdart pub getで表示されます。CIではOSV-Scannerでpubspec.lockを調べます。

01Dart・Flutterで今確かめたい脆弱性

2026年に公表されたもののうち、Dart SDK・Flutter SDKと、よく使われるpubのパッケージで確かめておきたいものです。米CISAのKEV(悪用が確認された脆弱性の一覧、10月30日版)には、Dart・Flutterを提供元とする項目はありません。ただし、描画ライブラリSkiaのCVE-2026-3909が3月13日に追加され、その説明に影響する製品としてFlutterが挙がっています。[1]

脆弱性・問題主な対象・条件修正・対応
Google Skia
CVE-2026-3909
KEVに3月13日追加。細工したHTMLで範囲外のメモリに書き込まれるおそれ。KEVはChrome・Android・Flutterなどに影響すると説明。Flutterの変更履歴には、11月2日時点でこのCVEの記載は見当たらないFlutterは最新の安定版3.47.9へ[1][3]
Dart SDK(dart:io)
GHSA-frr6-h895-5pxp
Android・Windows、証明書の一覧を更新していないLinuxで外部にTLSで接続するアプリ。鍵が漏れたeMudhraの中間証明書で偽の証明書を作られ、通信を盗み見られるおそれ。Web・iOS・macOSは対象外。深刻度は高Dart 3.13.7・Flutter 3.47.8以上で作り直して配る(10月24日)[2]
dio_http2_adapter
CVE-2026-103030
1.0.0〜2.7.1。別のオリジンへのリダイレクトで、Authorization・Cookieのヘッダーを送ってしまう。リダイレクトは既定で有効。CVSS 3.1の7.52.8.0以上(10月16日)[4]
jose(pub)
CVE-2026-34240
0.3.5以下。JWTのヘッダーに埋め込まれた鍵で署名を検証してしまい、偽のトークンを通すおそれ。CVSS 3.1の7.50.3.5+1以上[5]
Flutterのエンジン(libpng)Flutterが組み込むlibpngの脆弱性。変更履歴に番号の記載はないFlutter 3.47.2以上[3]
pubのパッケージの展開
CVE-2026-27704
Dart 3.11.0より前のdart pub・flutter pub。悪意のあるパッケージがpubのキャッシュの外にファイルを書き込むおそれ。深刻度は低Dart 3.11.0・Flutter 3.41.0以上[6]

11月2日時点で上の集計に出ているDartの記録は、dio_http2_adapterの1件です。

02Dart・Flutter SDKのサポート期限と更新先

DartとFlutterがセキュリティの更新を出すのは、最新の安定版だけです。重大な問題は、ベータ版か安定版の修正版で直します。[7][8] 11月2日時点の最新は、Dart 3.13.7(10月22日)と、それを含むFlutter 3.47.9(10月30日)です。[9][10]

使っている版状態今上げる先
Flutter 3.47.8以降(Dart 3.13.7)サポート対象。eMudhraの件は修正済み3.47.9
Flutter 3.47.0〜3.47.7eMudhraの件が残る3.47.9
Flutter 3.41.0以降で3.47.0より前サポート外3.47.9
Flutter 3.41.0より前(Dart 3.11.0より前)サポート外。pubの展開の件も残る3.47.9

Dartのサーバーやコマンドをdart compile exeで作った場合も、実行環境はバイナリに含まれます。eMudhraの件では、提供元はSDKを上げたうえで、Android・Windows・Linuxのアプリやバイナリを作り直して配るよう案内しています。[2]

03pubの依存関係の脆弱性を確かめる方法

pubは、GitHub Advisory Databaseに登録されたDart・Flutterのパッケージのアドバイザリを使い、依存を解決するときに表示します。[11] pubspec.lockの版を確かめ、対象のパッケージを上げます。

ターミナル
dart pub get
dart pub deps
dart pub outdated
dart pub upgrade dio_http2_adapter

Flutterのプロジェクトではdart pubをflutter pubに読み替えます。dart pub outdatedは、pubspec.yamlの範囲で上げられる版と最新の版を並べるコマンドで、アドバイザリの有無は表示しません。[12]

対象外と判断したアドバイザリは、pubspec.yamlのignored_advisoriesに番号を書くと警告を止められます。効くのは自分のパッケージ(ルート)の設定だけです。[11]

CIでは、OSV-Scannerでpubspec.lockを調べられます。[13] GitHubのDependabotも、pubのセキュリティ更新に対応しています。[14]

ターミナル
osv-scanner scan -L pubspec.lock

04Dart・Flutterの脆弱性の確認の進め方

  1. SDKの版をビルド環境で確かめる:CIの記録でflutter --version・dart --versionを見ます。SDKの版を固定している設定ファイルやDockerのイメージがあれば、そこも3.47.9・3.13.7に上げます。
  2. 配ったアプリは作り直す:SDKの修正は、ビルドし直したアプリにしか入りません。eMudhraの件はAndroid・Windows・Linuxが対象で、iOS・macOS・WebはOSやブラウザの証明書の検証を使うため対象外です。[2]
  3. 動いているサーバーの版:Dartのサーバーでは、dart:ioのPlatform.versionをログに出すと、動いている実行環境の版が分かります。
  4. Linuxの証明書の一覧:Linuxで動かす場合、提供元はOSのca-certificatesを更新していない環境やコンテナが対象になると説明しています。SDKの更新と合わせて、イメージのca-certificatesも更新します。[2]
  5. 間接的な依存:dart pub depsで、dio_http2_adapterやjoseをどの依存が引き込んでいるかを確かめ、pubspec.lockの差分を見ます。
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よくある質問

iOSのアプリだけなら、eMudhraの件は関係ありませんか?

提供元のアドバイザリでは、iOS・macOS・WebはAppleやブラウザの証明書の検証を使うため対象外です。同じコードからAndroid・Windows・Linuxのアプリも作っている場合は、Flutter 3.47.8以上で作り直して配ります。

dart pub getで警告が出なければ、対応は不要ですか?

pubが表示するのは、GitHub Advisory Databaseに登録されたパッケージのアドバイザリです。Dart SDKの実行環境や、Flutterのエンジンが組み込むSkia・libpngの問題は表示されないため、SDKの版も上の表で確かめます。

Flutterを3.47.9に上げれば、dio_http2_adapterの脆弱性も直りますか?

直りません。pubのパッケージは別に上げます。dart pub upgrade dio_http2_adapterでpubspec.lockの版を2.8.0以上にし、作り直して配ります。

出典・参考資料

  1. CISA:Known Exploited Vulnerabilities Catalog2026-10-30版 / Dart・Flutterを提供元とする項目がないこと、SkiaのCVE-2026-3909の追加日と説明
  2. Dart SDK:GHSA-frr6-h895-5pxp(eMudhraの中間証明書)2026-10-24 / 対象のプラットフォーム・版、修正版、作り直しの案内、Linuxの条件
  3. Flutter:CHANGELOG2026-11-02確認 / 3.47.8のセキュリティの修正、3.47.2のlibpng、CVE-2026-3909の記載がないこと
  4. GitHub Advisory Database:GHSA-cr65-55v9-xhvv(dio_http2_adapter)2026-10-16 / dio_http2_adapterの対象・条件・修正版・CVSS
  5. GitHub Advisory Database:GHSA-vm9r-h74p-hg97(jose)2026-04-01 / joseの対象・修正版・CVSS
  6. Dart SDK:GHSA-q739-79rh-vmvp(CVE-2026-27704)2026-02-24 / pubの展開の問題と修正版
  7. Dart:Security最新の安定版にセキュリティの更新を出すこと
  8. Flutter:SecuritystableのFlutterにセキュリティの更新を出すこと
  9. Dart:SDK archive(stable 3.13.7)2026-10-22 / Dartの最新の安定版
  10. Flutter:SDK archive(stable 3.47.9)2026-10-30 / Flutterの最新の安定版と含まれるDartの版
  11. Dart:Security advisories(pub)pubがGitHub Advisory Databaseを使い、依存の解決時に表示すること、ignored_advisories
  12. Dart:dart pub outdateddart pub outdatedが表示する列
  13. OSV-Scanner:Supported languages and lockfiles2026-11-02確認 / pubspec.lockに対応していること
  14. GitHub Docs:Dependabot supported ecosystems and repositoriespubのセキュリティ更新に対応していること