AIセキュリティ通信

気象庁のM9.9誤報はAIハッキング?原因の説明と緊急対策

公開 · 更新

気象庁のM9.9誤報と公式説明を整理する記事のアイキャッチ

10月16日の緊急地震速報で「M9.9」という値が示され、SNSではハッキングを疑う声も報じられました。気象庁はその後、計算処理の問題と緊急対策を公表しています。

この記事では10月16日22時40分の第3報までを確認し、公式に分かったこと、攻撃説の根拠、個人と企業が取る行動を分けて整理します。

気象庁のM9.9誤報とハッキング説の真偽

今回の誤報をAIハッキングと判断できる証拠は、確認した公開資料にはありません。会見を取材したケータイWatchは、気象庁がサイバー攻撃の可能性を否定したと報じています。

気象庁によると、10月16日12時38分ごろにカムチャツカ半島付近でM6.9(速報値)の地震が発生しました。緊急地震速報の処理では千島列島を震源とするM9.9の地震と推定し、12時40分に北海道から中部地方へ警報を発表しました。国内では函館市で震度1を観測しています。

マグニチュードは地震そのものの規模、震度は各地点での揺れの強さです。M9.9は実際の地震規模ではなく、速報処理で過大に推定された値です。公開履歴では、第14報のM7.3が第15報でM9.9に変わっています。

第14報M7.3から第15報M9.9へ変化し、第17報で警報が発表された経過

M9.9誤報の原因と気象庁が公表した緊急対策

22時40分の第3報では、震源から遠い観測点を計算に使ったことが、過大推定の原因の一つと説明されました。原因がすべて不明だった14時の初報から、調査が進んでいます。

17時30分の第2報では、日本から非常に遠い地震に国内用のマグニチュード計算式を適用したことと、規模の計算に使った震源と震度予測に使った震源が異なっていたことを挙げています。

第3報によると、気象庁は過去の誤報への改善策として、震源から700km以上離れた観測点を規模の計算に使わない運用としていました。しかし、今回はその機能が正常に動作していませんでした。

気象庁は21時30分ごろに、この機能を動作させる緊急対策を実施しました。対策後の処理では、今回の地震に対して緊急地震速報の警報が発表されなくなることを確認しています。機能が正常に動作しなかった詳しい理由などは、引き続き調査するとしています。

M9.9誤報のAIハッキング説に関する当社の分析

ヒューマンハッカーは、確認した資料からAIハッキング説を支持する根拠は乏しいと判断します。集英社オンラインはXでハッキングを疑う声が出たと報じていますが、疑惑の投稿があることと、侵入があったことは別です。

速報履歴から分かるのは、推定値が急増した経過です。現在は気象庁の続報で、計算に使った観測点や震源の扱い、正常に動作しなかった機能が説明されています。異常な数字の表示だけを根拠に、攻撃者やAIの関与を推定するのは適切ではありません。

当社は、今回のような異常では、公式の原因説明、機能が動かなかった理由、対策後の再現確認を分けて読むことが重要と考えます。公表された緊急対策をもって、原因調査やすべての再発防止策が完了したとまでは判断できません。

緊急地震速報の誤報で個人が気をつけたいこと

次に緊急地震速報が鳴ったときも、まず身の安全を確保してください。気象庁は、速報から強い揺れが届くまで数秒から数十秒しかないと説明しています。

家の中では頭を守り、丈夫な机の下などへ移動します。商業施設では係員の案内に従って落ち着いて行動してください。安全を確保してから、気象庁や自治体の発表を確認しましょう。

家族などへ情報を共有する場合は、発表時刻と更新内容を確かめ、公式ページへのリンクを添えると、その後の訂正も確認しやすくなります。

自社で誤報・誤通知を出した場合の法人の対応

当社は、自社で誤った通知を出した場合、誤配信の拡大防止、利用者への訂正、調査記録の保存を並行して進めることを勧めます。以下は自社サービスを運営する企業への一般的な提案です。

まず担当者間で、どの通知が、いつ、誰に届いたかを確認します。問題の配信を止める際は、正常な通知や緊急連絡まで止まる影響も確かめ、必要に応じて公式サイトなど別の案内経路を用意します。

訂正では、対象の通知、正しい情報、利用者に必要な行動、問い合わせ先を知らせます。原因が確定するまで案内を待つのではなく、利用者が今判断できる情報を先に伝えましょう。

送信内容、宛先の範囲、発生時刻、操作履歴、設定変更の記録を保存します。再起動や設定の上書きで調査資料が失われる場合があるため、影響を止める担当と記録を残す担当で手順を合わせます。

再開前には同じ条件で誤配信が再発しないかを確認し、責任者が再開を判断します。今回の気象庁の説明を自社の原因へ当てはめず、確認した原因に応じて、入力値の検査、重要な通知の承認、テスト配信、停止機能を点検します。

よくある質問

原因の最新説明、AIハッキング説、個人と企業の対応について確認します。

気象庁のM9.9誤報はAIハッキングによるものですか?
確認した公開資料には、攻撃者やAIの関与を裏付ける情報はありません。10月16日の会見報道では気象庁がサイバー攻撃を否定し、22時40分の第3報では、遠い観測点を計算から除く機能が正常に動作していなかったと説明しています。
M9.9と過大に推定した原因は判明しましたか?
気象庁は第2・第3報で、国内用の計算式の適用、規模と震度予測で使った震源の不一致、遠い観測点を除く機能の不作動を説明しています。21時30分ごろに緊急対策を実施しましたが、詳しい調査は続いています。
M9.9の地震が実際に起きたのですか?
M9.9は過大に推定された値です。気象庁の初報では、実際の地震はカムチャツカ半島付近のM6.9(速報値)で、函館市で震度1を観測したと説明しています。
次の緊急地震速報では、誤報か確認してから避難しますか?
まず身の安全を確保してください。頭を守り、丈夫な机の下などへ移動し、施設内では係員の案内に従います。安全を確保してから気象庁や自治体の発表を確認しましょう。
自社で誤通知を出した場合は、何から対応しますか?
当社は、問題の配信停止、利用者への訂正、記録保存を並行して進めることを勧めます。正常な通知への影響を確認し、正しい情報と必要な行動を案内します。再発しないか確認したうえで、責任者が再開を判断しましょう。

出典・参考資料