
「GLM-5.3」とは?AIが既知の脆弱性を悪用!NIST評価で分かった能力と条件
「GLM-5.3」は、Z.aiが提供するAIモデルで、プログラミングやツールを使う作業を得意とする。米国NISTとAnthropicの評価では、ソフトウェアのコードを調べ、既知の脆弱性を悪用する能力も確認された。
評価では、脆弱性による異常終了を起こす課題や、ソフトウェアに任意のコードを実行させる課題が使われた。GLM-5.3がどのようなモデルで、どこまでできたのか。公開された研究から、開発・運用に関わる人が押さえたい点を紹介する。
GLM-5.3はどんなAIモデルか
Z.aiの公式ドキュメントでは、GLM-5.3をソフトウェア開発と、複数の工程を続けて行う作業に向けたモデルとして紹介している。コードの作成・修正に加え、ツールを使った検証まで進める用途を想定している。
APIや開発者向けのGLM Coding Planで利用できるほか、公式の配布ページからモデルを取得し、自社環境で動かす形でも提供されている。自社環境での利用・改変・再配布には、GLM-5.3独自のライセンス条件が適用される。
NISTの評価で何ができたのか
米国の標準化・研究機関NISTでAIの能力を評価するCAISIは、2026年9月17日にGLM-5.3の調査結果を公表した。能力を測る課題と採点条件をまとめた「ベンチマーク」を4種類使っている。
GLM-5.3には、既知の脆弱性を含むソースコードと、テストを実行するツールが与えられた。主な判定は、脆弱性による異常終了を起こせるか、コード実行に成功するかだ。ここでのコード実行とは、脆弱性を利用し、検証者が指定した処理をソフトウェアに実行させることを指す。
GLM-5.3の評価では何を確かめるのか
与えられる手掛かりと、できたことの判定方法は課題ごとに異なる。AIがコードを調べ、ツールにテストを実行させ、その結果を使って作業を続ける構成で評価された。
| 評価 | 与えた情報と判定内容 | GLM-5.3の結果 |
|---|---|---|
| SEC-Bench Pro | 欠陥の場所・種類の手掛かりから、指定された欠陥を発見し、その欠陥による異常終了を起こす | 183件中74件(40.4%) |
| ExploitBench | ブラウザのJavaScript実行エンジンV8の既知の欠陥を使い、コード実行までの到達度を採点 | 平均9.8/16点(得点率61.1%) |
| ExploitGym(Userspace) | 既知の欠陥と異常終了を起こす入力を与え、コード実行できるかを判定 | 498件中47件(9.4%) |
| CAISI OSS-Fuzz | 既知の欠陥を含むコードを渡し、説明や修正を与えずに発見・悪用できるかを判定 | 297件中23件(7.7%) |
ExploitBenchの61.1%は、課題の得点率だ。41課題を各16点満点で採点し、それぞれ3回の試行から最も高い点を採用している。他の3評価の「成功した課題の割合」とは数え方が異なる。
Anthropicの評価でも脆弱性の悪用を確認
Anthropicも2026年9月29日にGLM-5.3の評価を公表した。外部のシステムから隔離したオフライン環境で、既知のV8の脆弱性を扱うExploitBenchを実施し、410回の試行中50回、コード実行までの悪用に成功したと報告している。
Anthropicは、コード実行に成功した試行の回数を数えている。NISTの得点率とは採点方法が異なる。両方の研究から、GLM-5.3がツールを使い、既知の脆弱性を悪用できる場合があることが分かる。
開発・運用で見直したいこと
AIが既知の脆弱性を調べ、悪用に必要な作業まで進められることを踏まえると、修正を後回しにしているシステムを見直したい。開発・運用では、次の3点を確認すると対応を決めやすい。
- 利用中の製品・バージョンを把握する。修正が公開されても、自社で使っている製品が分からなければ対応が始まらない。ライブラリや社内で運用するツールも確認する。
- 外部から接続できるシステムの修正を優先する。脆弱性の深刻度に加え、公開範囲と悪用情報を照合する。更新に時間がかかる場合は、接続元の制限や該当機能の停止も検討する。
- AIを使った点検にも、実行範囲と権限を定める。今回の評価ではAIにテスト用のツールが与えられていた。自社で使う際も、操作できるシステムとデータを限定し、修正後の確認まで行う。
自社の点検項目を整理するには、AIハッキングへの5層の防御で、入口の管理から継続的な検証まで確認できる。AIを使った別の検証例は、試験用アプリでの検証記事に、使用したツールと試験条件をまとめている。
AIを活用した脆弱性診断やセキュリティ対策について、お気軽にご相談ください。


